2024 .05.08
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2017 .04.04
昔は無茶苦茶美味しく感じたのに、今ではそうでもない食べ物があります。
最初に言っておきますが、製造業者さんや料理人の方々に喧嘩を売っている訳ではありません。
これらのプロの方々が常に美味を追求しているうちに、私の脳内に記憶されている“思い出の美味しさ”とかけ離れてしまった。と言うだけの事だと思います。
また、大人になって好きなものを買ったり作ったりしているうちに味覚が麻痺してきたとも考えられます。
【コロッケ】はそのもっとも顕著なものだと思います。
揚げたても勿論美味しいですが、私が好きだったのは、冷めて衣が若干しっとりして中身と馴染んでいるヤツです。
ソースなどかけずにそのままかぶり付つくのが良いんです。
実は、コロッケの原料や作り方を知ったのは小学生になってからだったので、初めて(でもないんでしょうが)食べた幼稚園児の頃はそれが茹でたシャガイモが主原料でしかも揚げてあるとは知るよしもありませんでした。
なんかこう……未知の材料を使い、選ばれし熟練の技を持った料理人が未知の技術で調理したもののように感じたんです。
なので随分とポピュラーな原料を良くある方法で調理した物と知った時、軽くショックを受けましたが、
そう言われて見ると中身はイモだし、周りのきつね色の物体は豚カツやメンチカツに付いてるパン粉です。
また
「イモに炒めた玉ねぎとひき肉を混ぜて丸めて揚げただけで、こんなに美味くなるなんて……!」
と、動揺を隠せなかったのも事実です。
しかし最近は、
美味しいと評判のコロッケを食しても子供の頃のような感動がありません。
味が違うんです。
子供の頃は肉屋さんで買っても、惣菜屋さんで買っても、スーパーで買っても(微妙に食感や塩みが違うとはいえ)同じ味でアタリハズレが無かったのに、
今のコロッケは昔の味がしないんです。
何故だろう……?と考えて色んな所でコロッケを購入し、食してみましたが、昔の味にたどり着く事は出来ませんでした。
しかし、
ある日、自分で作って食べてみて
その謎が解けました。
「あの味だ……!」
自分で作る訳ですから、何の小細工も無くシンプルに作ったので解ったのですが
昔のコロッケは
誰もがシンプルに作っていたからこそどこで買っても同じ味だったんです。
マッシュしたジャガイモに炒めた玉ねぎとひき肉。味付けは軽く塩胡椒だけ。
私の作った爆発後の手榴弾みたいな不細工なコロッケでさえあの味がしたんですから確かです。
今のコロッケは美味しさを追求する余り
余計な物が多過ぎるんです。
マヨネーズやチーズや複数のスパイス。果ては砂糖醤油の煮物風の味付けとか。
勿論、それらのものも美味しいとは思います。
試行錯誤の末に産み出した味です。不味いわけがありません。
でも
引き算の美味しさってのもあると思うんですよ。
私が単に昔を懐かしんでいるだけかもしれませんが。
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イラスト
「サプライズギフト」
by 鮎川 了
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